パーキンソン病・または症候群は脳の神経細胞が変性する事によって、運動症状・自律神経症状・認知機能症状が起きる病気です。これは脳内の神経細胞の一部に異常なタンパク質が集まる事で神経変性が起こると言われています。
脳には血液脳関門といい、脳の中に異常な物質が入らないように関所が設けられています。
ではなぜ脳の中に異常なタンパク質が出現するのでしょうか。
最近の研究では、お腹にある腸に関連する神経を介して脳に伝播することが動物のモデルで分かってきました。
この神経は迷走神経と言います。脳神経の一つです。
研究では迷走神経を切除すると脳への伝播が抑制されることも分かりました。
ということは腸の中にαシヌクレインと呼ばれる異常なタンパク質を増やさないようにすれば、症状の緩和や進行が遅らせる事ができるのはないか?
と思われます。
↑これは私がそう思っているだけで確定ではありません。
参考にした論文は、まだオープンではないのですが、参考に開示します。
最近まで言われているαシヌクレインのTOPICS
腸でのα-シヌクレインの増加メカニズム
腸でα-シヌクレインが異常に蓄積し、それが脳へ波及する仕組みは以下のように考えられています。
1. 腸内の異常な刺激(細菌・毒素・炎症)
• 腸内細菌の異常(腸内フローラの変化)
• 特定の腸内細菌(LPSを産生するグラム陰性菌など)が、腸の免疫系を刺激し炎症を引き起こす。
• これにより腸管神経系(ENS)のニューロンがストレスを受け、α-シヌクレインの異常な蓄積が始まる。
• 外部からの毒素・農薬
• 農薬(例:パラコート、ロテノン)や重金属(例:マンガン)が腸管神経に影響を与え、α-シヌクレインの異常なリン酸化・凝集を促す。
• 慢性腸炎・腸のバリア機能低下
• 炎症性腸疾患(IBD)やリーキーガット(腸の透過性亢進)により、腸管神経系が慢性的に炎症を起こし、α-シヌクレインの産生を増やす。
2. 腸管神経系(ENS)での異常なα-シヌクレイン蓄積
• 腸のAuerbach(アウエルバッハ)神経叢やMeissner(マイスナー)神経叢でα-シヌクレインの異常な蓄積が始まる。
• ENS(腸管神経系)は、脳とは独立して腸の動きを制御している神経ネットワーク。
• ENSのニューロンが炎症や酸化ストレスを受けると、α-シヌクレインが異常にリン酸化され、凝集体を形成しやすくなる。
3. 腸から迷走神経を介して脳へ伝播(レトログレード輸送)
• α-シヌクレインの異常な凝集体は、腸の神経から迷走神経を介して脳へ伝播する(「プルキンエ・メカニズム」)。
• 迷走神経を通じて、α-シヌクレインの凝集体が中枢神経系へ逆行性に拡散し、最終的に脳幹(特に延髄・青斑核・黒質)に達する。
• これにより、パーキンソン病の**特徴的な神経変性(黒質ドーパミン神経の変性)**が引き起こされる。
4. 腸-脳軸を介した影響
• 腸内細菌の影響
• 一部の腸内細菌は**短鎖脂肪酸(SCFA)**を産生し、これがα-シヌクレインの蓄積を促す。
• 実際に、腸内細菌が異常なパーキンソン病患者では、α-シヌクレインの蓄積が進みやすいという研究結果がある。
• 腸の炎症が神経炎症を引き起こす
• 腸で発生した炎症(TNF-αやIL-6などのサイトカイン)が、血液脳関門を通じて中枢神経系の炎症を引き起こす。
• これがさらなるα-シヌクレインの異常蓄積を引き起こし、神経変性を加速させる。
α-シヌクレインの増加を防ぐ方法
腸でのα-シヌクレインの異常蓄積を防ぐことは、パーキンソン病の予防や進行抑制に役立つ可能性があります。
1. 腸内フローラ(腸内細菌)の改善
• **プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌)やプレバイオティクス(食物繊維)**を摂取し、腸内細菌のバランスを整える。
• **発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌)や地中海食(オリーブオイル・野菜・魚)**が推奨される。
2. 腸の炎症を抑える
• **抗酸化作用のある食品(ポリフェノール・ビタミンC・ビタミンE)**を摂取。
• 過剰な加工食品や糖質の摂取を控え、炎症を抑える食生活を意識する。
3. 腸のバリア機能を維持
• オメガ3脂肪酸(魚・亜麻仁油)やビタミンDを摂取し、腸の粘膜を健康に保つ。
• ストレス管理(腸と脳は相互に影響を与えるため)。
4. 有害物質(農薬・重金属)への曝露を減らす
• 無農薬食品を選ぶ、環境毒素を避ける。
まとめ
• α-シヌクレインは腸でも異常に蓄積し、これがパーキンソン病の発症と関連する可能性がある。
• 腸内細菌の異常、炎症、毒素などが腸管神経系でのα-シヌクレインの蓄積を促す。
• 蓄積したα-シヌクレインは迷走神経を通じて脳へ伝播し、神経変性を引き起こす。
• 腸内環境を整えることが、パーキンソン病の予防や進行抑制につながる可能性がある。
最新の研究では、腸からのアプローチによって神経変性疾患を予防・治療できる可能性が示唆されています。今後の臨床研究がさらに進めば、新たな治療法の開発につながるかもしれません。