歩くことは健康維持に大切ですが、片麻痺の場合、健常者と違って、歩行の疲労度、速度なのが違いますよね。
では実際にどのくらい歩けばいいのか?
といった疑問があります。
厚労省のガイドラインでは成人1週間23METs・時以上の運動が推奨されています。
https://www.carenet.com/news/general/carenet/58216
[成人]
・強度が3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上行う。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行う(1日約8,000歩以上に相当)
・強度が3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上行う。具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行う
・筋力トレーニングを週2~3日行う(週4メッツ・時の運動に含めてもよい)
[高齢者]
・強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行う(1日約6,000歩以上に相当)
・筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行う
・筋力トレーニングを週2~3日行う(多要素な運動に含めてもよい)
高齢者の場合、週に15メッツ・時以上なので、7日で割ると、1日3メッツ以上が必要になります。
3メッツの運動は、時速4キロで歩くことなので、
1日、時速4キロで1時間歩くとクリアできます。(家で歩いたりもしているので、実際には歩く時間を取らなくてもクリアできます。歩数は6000歩くらい)
じゃあ片麻痺の人はどうなのか???
しかし、健常者と障害者では歩行の仕方が違うため、運動の強さ(運動強度)も異なります。論文では、慢性期の片麻痺(半身が麻痺している状態)の方が歩行する際の運動強度を測定し、一般的な活動量計(歩数計のようなもの)が正しく測れているかを検証しました。
論文の方の場合、時速1.94キロのスピードで3.8メッツの運動強度になりました。
なので、片麻痺の方が普通に歩くと、健常者の普通に歩くことよりも運動強度が大きいことがわかります。
個人の歩くスピードにもよりますが、
概ね30分から40分を毎日歩くことが出来れば、厚労省の推奨するガイドラインがクリアできると考えます。
参考にした研究の概要です。
研究の方法
• 対象者: 片麻痺者1名(58歳男性)
• 測定方法:呼吸代謝計測装置(より正確に運動強度を測れる機器)
• 市販の活動量計(一般的な運動強度を測る機器)
• 6分間の自分にとって快適な歩行で測定
研究の結果
• 歩行速度 0.54m/s → 時速1.94Km
• 呼吸代謝計測装置の運動強度 3.8 METs
• 活動量計の運動強度 2.2 METs
➡ どちらのケースでも、市販の活動量計は運動強度を低く測定していた。
考察
• 健常者と比べて歩くスピードは遅いが、運動強度は同じくらいになる可能性がある。
• これは、障害のある人は歩くときにより多くのエネルギーを使うため。
• 市販の活動量計は健常者向けに設計されているため、障害者が使うと運動強度を低く見積もる可能性がある。
詳しくはこちらを見てください。
参考論文
慢性期片麻痺者および四肢麻痺者の歩行における運動強度の特性
森田 智之1)#・横山 修2)・村田 知之3)・松田 健太4)
論文はこちら⇩
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptp/3/2/3_JPTP-D-23-00019/_article/-char/ja/
いかがでしょうか??
ご参考になれば幸いです⭐️