感覚性運動失調症は運動じゃなくて「感覚」の学習を推奨すべき

脳の障害で、筋肉に関与するところではなく、感覚に関与する部分が障害を受けると、運動は出来るのに、感覚が分からないといった状態が起こる。

例えば、ペットボトルを持つと持っている感覚が分からないので、質量、形の分別、熱さ、冷たさなどが認識出来ない。この状態だと、手のどのくらい力を入れたらいいのか分からない。

闇雲に運動をしながら、物を持つ練習をしてもこれでは一向に良くならない。

感覚の練習をしていないからだ。

能動的感覚再学習訓練

重量の練習

重さが違うが、形が同じものを用意する。

自宅で簡単に行う場合は、形の違う空ペットボトルで、水分の量を変えて実施してみると良いでしょう。

それで、閉眼で重さを感じて、軽い順に並び替える。

10回して正答率が8割、手で探る時間を10秒程度でスムーズにできたら、重さの差を少なくして、難易度を上げていく。

大小知覚

ゴルフボール、テニスボールなど大きさの違う球体を用意して、大きさを当てる。

10回して正答率が8割、手で探る時間を10秒程度でスムーズにできたら、大きさを同じものにして、表面の触った感じが違うものなどに変える。

立体感覚

物の形をチェックし、当ててみる。積み木の、三角、四角、丸などが簡単で分かりやすいかもしれない。

参考にした論文では下記の方法で実施。30分練習して、概ね2ヶ月で効果出現。
失調症による震えも減少して、感覚も完全に分からない状態から、少し分かる程度まで回復している。
感覚の練習を続けることは改善する可能性が大いにあるので、続けてみましょう

作業療法での一例。

1. 感覚課題: 閉眼状態で重量知覚、大小知覚、立体覚などを訓練。

2. 振動刺激療法: 深部感覚を活性、過剰な筋緊張をIb抑制で落とす。

3. 装具療法: 手指の形状を固定し、過剰な運動出力を軽減。

4. 課題指向型訓練: 食事動作や物品操作を段階的に学習。

参考にした論文はこちら

感覚性運動失調を呈した脳卒中者に対して, 能動的感覚再学習訓練, 振動刺激, 装具療法の併用下で課題指向型訓練を実施した一事例
実践報告
宝田光1)2), 村上正和1)
1)日本医療大学保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, 2)医療法人札幌麻生脳神経外科病院
日本臨床作業療法研究

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