糖尿病と診断されたあなたへ
筋力低下やふらつき、転倒が気になったことはありませんか?
「運動不足だからかな?」
「年齢のせい?」
…実はそれ、糖尿病そのものが原因 かもしれません。
糖尿病になると、血糖値が高いだけでなく、
● 足の筋肉が弱くなる
● バランスが悪くなる
● 転びやすくなる
そんな運動障害が起こりやすいことが、これまでの研究でわかっています。
そして最近の新しい研究で、
「筋肉」だけでなく「神経」や「脳」も関わっている
ことが明らかになってきました。
今回は、最新の知見をもとに、糖尿病と筋力・バランス低下の関係をわかりやすく解説します。
糖尿病と筋力低下・バランス障害の本当の原因とは?
糖尿病によって起こる体の変化は、大きく3つあります。
① 足の神経が傷む(糖尿病性末梢神経障害)
足先からじわじわと神経が傷んで、感覚が鈍くなったり、動きが悪くなる。
② 筋肉そのものが弱くなる
筋肉に脂肪がたまったり、筋肉を縮める力が弱くなる。
③ 脳や脊髄の「運動を伝える回路」が弱くなる(最近わかったこと!)
特に、足を動かすための 脳(運動野)や神経の通り道(皮質脊髄路) が傷んでしまうことが研究で確認されています。
脳と筋肉をつなぐ「神経の電線」がダメージを受けてしまうイメージです。
「筋トレだけ」では足りない理由
これまでのリハビリでは、
「筋力が落ちているなら筋トレを!」
という考え方が主流でした。
ところが最近、
「筋肉への命令を出す脳や神経の元気を取り戻すこと」 が大切だとわかってきました。
脳や神経の働きが悪いと、どれだけ筋肉を鍛えても「うまく動かせない」からです。
どうすれば脳と神経を元気にできるの?
最新の動物実験では、
・ただ走るだけの運動(有酸素運動)
よりも
・「考えながら動く」運動(スキル運動)
のほうが、脳の運動をつかさどる部分が元気になることがわかっています。
「考えて動く」ことで、脳と神経のつながりが良くなり、筋肉もしっかり動くようになるのです。
スキル運動とは、練習や学習を通して習得される、特定の動作や技術をスムーズに、効率的に、そして正確に行う能力のことです。運動スキルは、脳の機能と運動プログラムが重要な役割を果たしており、スポーツ、ダンス、音楽、さらには日常生活における様々な動作にも応用されています。
まとめ
糖尿病による筋力低下やバランス障害は、
「筋肉」だけの問題ではなく、
「神経」や「脳」も深く関わっています。
そのため、これからのリハビリや運動では、
● 筋肉を鍛える
● 神経や脳の働きを良くする
この 2つのアプローチ が大切になります。
「考えながら動く運動」も意識して、楽しく体を動かしていきましょう。
気になる方は、専門の理学療法士に相談するのもおすすめです。