脳は回復しない。と言われてきたのを、1980年代のNudoらによって覆されました。この研究結果は脳梗塞や脳出血で脳にダメージを受けた方々にとって、とても有意義な知見です。今日はそんな話をします。
手は脳の運動野から
上記の図は脳を縦に切った図です。この脳の表面の一部分を運動野と呼びます。この運動野の神経細胞が働いて、電気を送り、手足が動きます。
ここでのポイントは、脳卒中になると手足を動かそうとしても、手足にいく神経の導線に刺激が入らないので、手足が動かないという事を理解しましょう。導線の障害は、内包か被殻とかといった部分に梗塞や出血が起こり、動かなくなります。
麻痺した手足が回復したサルの実験
Dr.Nudoらは、予め手足を動かした際に脳が働く領域に梗塞を作りました。(人為的に脳梗塞の片麻痺を作った)。そして、非麻痺側の手を動かない条件にして、強制的に麻痺した手を何度も使用する環境にしました。
すると、脳の中の手を動かそうとする領域が拡大しました。
何度も使用していると、神経細胞がネットワークを組み、手が動く事も分かりました。
麻痺した手は動かす回数が大事
上記の結果から、麻痺した手はなるべく使うといった事が回復の最低条件です。回数はどのくらいと聞かれますが、使えば使うほど良いです。
脳梗塞、脳出血の方が歩けるようになるのは、歩くことは毎日行うので、使用頻度が高いのです。しかし、手は非麻痺側を使う事で生活できてしまうので、必然的に使用頻度が落ちるんですね。
正しくするが大事!!
脳はその運動が正しい、誤っているという判断は出来ません。なので、せっかく運動をしていても、正しい手の使い方をしていないと、逆効果となっている場合もあります。
- リハビリをしていても、手指が硬くなる
- 肩が痛くなってきた
- 指を伸ばそうとしても反対に曲がってしまう
など、正しく行う事は難しい場合があります。
正しく行うには??
課題の難易度を決めるのが大事です。例えば、
肩を上げるといった運動を練習した場合に
身体が傾いてしまう
肩甲骨が上がってしまう
手指や肘が曲がってしまう
などが起こったとします。
これは、肩を上げるのに必要な力が足りないので、他の部分も総動員をしてなんとか肩を上げようとしているんですね。
では、肩を上げるには、
ワイピングといった方法で麻痺した手を滑らせすように前に出します。
このように、肩を動かすといっても、工夫一つで正しく学習する事が出来ます。
難易度設定、環境設定は難しい場合が多いので、ぜひご相談ください。
先日です。低周波を使いながら、足首を持ち上げる練習を毎日続けて下さった患者様が「歩くとき、足が上がりやすくなった!」と喜ばれていました。
毎日、正しく行うことが、麻痺の回復の基本的な方法なんだと思いました。
皆様、毎日、少しずつでも良いので頑張って参りましょう。今日もブログをご覧頂きありがとうございました(^^)