脳卒中(脳梗塞、脳出血)のリハビリ 歩行が上手くなるには?

脳卒中になった後、歩行を達成する方法は?

脳卒中になると、身体の半分が動きづらくなります。

動かないレベルは人によって様々です。脳の神経細胞がダメージを受ける場所によって大きく変わります。

日本では、身体の動かしやすさをBrunnstrom stage(ブルンストロームステージ)という運動麻痺の回復段階をレベル分けした評価が使用されます。このレベルによって歩き方は大きく変わる訳です。

ステージ1は弛緩性麻痺といって、手足はぶらぶらで全く動かず、筋肉の収縮もほぼない状態。

ステージ2は手足はぷらぷらで動かないけど、麻痺している手足以外を動かすと、つられて筋肉がわずかに収縮する状態。

ステージ3は共同運動パターンと言いまして、肩・肘・手があるパターンで一緒に動いてしまう状態です。ここで初めて自分の意思で手足を動かせます。患者さんが一番喜ぶ瞬間ですね。ここで希望が湧いてきます。

ステージ4は分離運動の一部ができるようになります。肩・肘・手が分離するので、肩肘は伸ばしたまま手を握ったり出来ます。

ステージ5はほぼ全て分離運動が行えます。でもどこかぎこちない感じ。

ステージ6はほぼ麻痺していない手と変わらない状態まで回復している段階です。

麻痺になった手足は、弛緩性で手足がプラプラの状態から少しずつ上手く動かせないけど力が入るようになってきて、使いやすい手足になって回復していきます。

 

主に歩行練習が積極的にできるレベルは4レベルです。3レベルはかなり疲れます。患者さんもリハビリスタッフも。なのでステージ3レベルで歩行練習を行った場合、歩行練習は距離にして数十メートルです。

この数字は多いですか??少ないですか??

圧倒的に少ないです。

あなたは毎日3000~10000歩くらいは歩きませんか?

歩幅の目安は身長×0.45です。私の場合は171センチなので1歩77センチになります。

なので、10000歩歩くとしたら約7.7キロは歩いています。

脳卒中で歩行練習をすると多くて60mくらい。

約1/128です。

これは廃用症候群といって、活動量が減ることにより、身体が弱ってしまいます。

じゃあなんでもっと歩行練習しないのか。

動かせない手足、支えが聞かない足で歩くと、右足を降り出す為に、体を大きく傾けて歩行をします。

右手足は質量で表すと

部位 質量比
0.044
0.033
体幹 0.479
上腕 0.053
前腕 0.030
0.018
大腿 0.200
下腿 0.107
0.038

※基礎運動学第6版 pp334 身体各部の質量比男性 引用

私の体重を60キログラムとすると、約14キロの動かない手足を身体を上手く使って歩きます。

14キロは相当重いですよ。

そして身体を支える時は手は下に降ろして、足は棒のように支えて歩きます。

重たい手足と支えられない足を酷使して歩行練習は体力的にかなりしんどい事がご理解頂けるとかと思います。

麻痺になった患者様もこのような状態で毎日、少しずつ頑張って歩行練習を続けています。

じゃあ活動性が落ちて身体が弱っていくのを黙って見ていくしかないのか。

Physical Harmonieではこのように自分で動かせない、上手に体を支えられない方でも健常の時と変わらない程度の負荷量を加える事が可能です。

麻痺側へのアプローチ

手足が動かない状態で歩行練習をすると歩行に変な癖がつきますので、手足が動くようになってきても、動かない足で歩く癖がなかなか抜けません。

これは脳卒中になった患者様であればご自身の身体で感覚的に納得されるかと思います。

人は習慣がつくとなかなかそのパターンから抜け出せません。

この変な癖がつかないように、ご自身で動かない部分は我々セラピストが動かします。

歩行練習中も、足を降り出すのに5キロの力が必要であった場合、患者さんは1キロ、セラピストは4キロと力を分け合って歩行練習を手助けします。しかし、歩行練習はどのくらい癖なく歩けるかをチェックするだけで、ほとんど行いません。

することは、反復的に何度も何度も何度も手足を交互にリズムよく動かすだけです。

私は病院時代で勤務している時60分間ずっと手足を動かす続けていました。終わると汗びっしょりです。約7名の患者様を見ていましたが、脳卒中の方を連続3人見たあとはクタクタになります。

でも手は抜きません。

人生の一番大変な時期でこれからのお身体の回復に大きく関与する時なので、ここで頑張らないと一生後悔します。

この方法は一人ではできないので、我々セラピストができない場合はご家族様にも日々の自主トレとして行って頂きます。

これで、変な歩き癖もつかず、麻痺している手足を回復する方向へお手伝いができます。

しかし、ここで問題になるのは動かすことと支えることは別物です。支える事もトレーニングしないといけません。

この支え方のトレーニングが非常に技量が入ります。

人の筋肉は3つのタイプがあります。そして約400個の筋肉はそれぞれ走行が違います。また、重心の掛け方、その時の姿勢、足裏の足圧のどこに体重を載せるか、その時間量とタイミング、リズムなど考える点が非常に多いです。

次のブログでは支えるトレーニングをどのように行っているかご紹介します。

本日もブログを読んで頂きありがとうございます。

 

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