脳卒中(脳梗塞、脳出血)による運動麻痺 リハビリについて

歩行予後について

脳卒中になり、まず思う事は「自分は歩けるのか?」ではないでしょうか?一生、車椅子になるのか?と心配が絶えないかと思います。

結論から言いますと、ほとんどの方は何かしらの方法で「歩く事が出来ます」

文献から引用していきますね。

<方法>2010年4月から2015年3月までに発症7日以内に脳卒中にて入院し、リハビリテーションを施行した799例を対象とした。このうち、発症前modified Rankin Scale(mRS)が3以上の123例、くも膜下出血14例、理学療法非介入13例、評価項目欠損22例、拒否6例、1週間目以降の介入2例、骨関節疾患による制限1例、3ヶ月フォローアップが出来なかった59例を除外した559例を対象とし、前向きにデータ収集を行った。〜一部省略〜<結果>対象者559例のうち脳卒中発症後3ヶ月後における歩行自立者は447例(80%)であった。 引用:理学療法福岡30号2017  脳卒中発症3ヶ月後における歩行自立予測-決定木分析による検討-

mRSが3以上というのは、歩行が介助なしで歩ける以上の能力を持った人という解釈です。よって、入院して1週間の時は歩けなかった人は3ヶ月後、8割は歩けるようになったという事を伝えた文献です。歩き方に関しては追求されていませんが、何かしらの手段によって歩けるという事です。

歩ける方の機能的な特徴も記載していました。

①SIAS42点以上(n=475)は92%が歩行自立(n=437) 8%は歩行不可(n=38)  

②TCT50点以上(n=433)は95.8%が歩行自立(n=415) 4.2%は歩行不可(n=18)

①のSIASというのは脳卒中における総合的な機能評価です。合計76点で麻痺手足の運動機能、筋の硬さ、関節可動域、 手足の感覚、痛み、体幹の機能などなど、身体を多角的に評価しているものです。76点中42点という事になりますね。

②TCTは,麻痺側および非麻痺側への寝返り,起き 上がり,座位バランスの4項目を各0点,12点,25点の3段 階で判定し,合計得点を算出する方で合計100点になりますね。

発症7日目で概ね評価点の5割を取れば、9割以上が歩く事ができるという事がわかるわけです。リハビリを組み立てる上で歩く事が出来るか否かは今後の生活環境を調節する必要があるため、早い段階で歩けるかどうかを決めなくてはいけない。

歩き方は誰が決める?

セラピストはなるべく綺麗な歩き方で元の状態の通りに歩けるようになってほしいと思い、リハビリを頑張り、患者さんも頑張ります。そしてリハビリの期限がある為、手段を選ぶ余裕がなくなっていきます。本当は杖を使いたくないけど、歩く為には杖を受け入れないといけない。足が上がらないから、本当はつけたくないけど装具をつけて歩く事を受け入れないといけない。目的の為に手段を選ぶ事が出来なくなります。

じゃあ歩き方は誰が決めるんでしょうか??

全てを知った上で自分で決めるべきです         映画:真夏の方程式より

我慢じゃなくて、納得して歩き方を突き詰めてほしい。
 
納得して今の自分の身体を好きになって生活をしてほしいと思います。
 
全てをお伝える事は出来ないと思いますが、私がしている脳卒中片麻痺のリハビリについて書いていきたいと思います。

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